海上自衛隊の掃海艇「うくしま」が火災を起こし、最終的に転覆するという重大な事故が発生しました。
火災は掃海艇のエンジンルーム(機械室)から発生し、消火活動が行われたものの、状況は非常に困難を極めました。この事故により、現在も隊員一名が行方不明となっており、もう一名が怪我により病院へ搬送されています。
一刻も早く行方不明の隊員が発見・救助され、全ての関係者が無事に職務を再開できることを心から願っています。
火災で沈没の海自掃海艇、16日にも引きあげに向けた現地調査開始へ
早ければ16日にも※民間サルベージ会社による引きあげに向けた現地調査が行われることが関係者への取材でわかりました。
船体は水深およそ50mの海底に沈んでおり、依然隊員ひとりが行方不明のままです。
船体の引きあげに向けて調整が進められてきましたが、関係者によりますと、天候次第で早ければ、今月16日、17日にかけて民間サルベージ会社によって引きあげに向けた現地調査が行われるということです。
沈没した海自掃海艇「うくしま」、不明の隊員は艦内で発見されず… 船体の引き揚げに向けて準備
海上自衛隊の掃海艇「うくしま」が火災で沈没し、行方不明の33歳の男性隊員は潜水士による艦内捜索で発見されませんでした。
海自は艦艇や航空機、陸上自衛隊と連携し周辺海域と沿岸部で捜索を継続しています。 米軍からの支援申出や「うくしま」の引き揚げ準備も進んでいます。
海自における訓練は中止され、全艦艇のエンジンルームや配管の調査が行われています。
※現時点での行方不明の隊員に関する新たな情報はありません。
火災による艦艇沈没は2例目
海上自衛隊によりますと、火災が原因で自衛隊の艦艇が沈没したのは1966年10月以来、2例目だということです。
また、掃海艇で火災が起きたのは平成以降では4例目だということです。
国の運輸安全委 調査官2人を現地派遣へ
10日、福岡県沖を航行中の海上自衛隊の掃海艇「うくしま」で起きた火災について、国の運輸安全委員会は重大事故だとして今後、船舶事故調査官2人を現地に派遣し、事故の詳しい原因を調べる予定です。
調査では、火災や転覆の原因を調べるとしています。
海上自衛隊 掃海艇「うくしま」火災
発生日時と場所
発生日時:2024年11月10日(日)午前9時50分
発生場所:福岡県宗像市沖合
※志布志港に向け福岡県宗像市の北約2kmの沖合を航行中
船内のどこで発生
エンジンルームからの出火が原因とされています。
福岡県宗像市沖合で発生した海上自衛隊の掃海艇「うくしま」の火災について、現時点での具体的な原因は明らかにされていませんが、エンジンや機械室内の設備に何らかのトラブルがあった可能性が指摘されています。
火災発生時には数度の爆発音も確認されており、これにより消火活動が困難になったと報告されています。
沈没原因は?
火災はエンジンからの発火が原因と考えられており、消火活動中に再燃が発生した上、数度の爆発音も確認されています。
火災発生から14時間後に転覆
このことから、爆発によって機関室内に亀裂や穴が生じ、そこから海水が侵入し沈没に至った可能性もあります。
また、掃海艇には弾薬などの爆発物が積まれているため、これらの温度上昇を防ぐ目的で散水装置が作動し、その散水と同時に排出されますが、若干の浮力を失ったことも想像できます。
今後、海上自衛隊内での事故調査委員会で詳しい調査が行われ、その中ではっきりすると思われます。
掃海艇火災 危険性が非常に高いのはなぜ
一般の船舶よりも掃海艇(軍艦)の火災は危険を含んでおり、これにはいくつかの要因に起因しています。
弾薬
その主な理由の一つは弾薬を搭載していることです。戦闘をも目的としており、火薬の危険物を大量に搭載しています。このため、艦内で火災が発生すると、艦の存亡を脅かす重大な事態に発展する可能性があります。
弾薬庫の爆発
弾薬庫での火災は特に危険です。弾薬や装薬が何らかの理由で発火すると、大規模な爆発を引き起こし、艦体に致命的な損傷を与える可能性があります。
歴史的には、アメリカ海軍の戦艦「メイン」が1898年にハバナ湾で爆発し沈没した事件があり、この事故では266名が死亡しました5。
可燃物の存在
軍艦は多くの可燃物を搭載しており、特に燃料や潤滑油が大量に使用されています。
これらの物質は高温で稼働するエンジンや機械室の近くに存在するため、火花や電気配線のショートなどの小さなトラブルが火災につながるリスクが高まります。
これらの要因から、掃海艇(軍艦)における火災は非常に危険であり、その影響は乗員の安全だけでなく、艦そのものにも深刻な影響を及ぼします。したがって、軍艦では厳格な安全管理と訓練が求められています。
掃海艇うくしまの概要
所 属
海上自衛隊下関基地隊・第43掃海隊
定係港
山口県下関市
主要任務
機雷を排除し、海域の安全を図ることを任務とした掃海艇。磁気に反応する機雷にも対処できるよう、船体が木製となっています。
船体の特殊性
掃海艇「うくしま」の船体はFRP(繊維強化プラスチック)ではなく、木製です。
「うくしま」は、海上自衛隊のすがしま型掃海艇の一隻であり、2003年に就役しました。この設計は、機雷が磁気に反応して爆発するのを防ぐために採用されています。
木製の船体は、磁気による影響を受けにくい特性を持っており、機雷除去任務において重要な役割を果たしています。
近年では、FRP製の掃海艇への移行が進んでいますが、「うくしま」は木製のまま運用されています。木製の船体は、金属製の船体と比べて磁気反応が少なく、機雷によるリスクを低減するため、掃海作業において非常に有利です。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。この記事が少しでもお役に立てれば幸いです。
コメント